エステ、学習塾等の中途解約や解除について
新型コロナウィルス感染拡大や休業要請に関連して寄せられる相談から、
他にも同じ問題で困っていらっしゃる方に向けて役立つ情報を、
少しずつ紹介していきます。
エステ、美容医療(脱毛、脂肪の減少、歯の漂白等)、語学教室(英会話等)、
学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービスは、
ある程度の期間、複数回にわたってサービスが受けられる契約となっており、
その対価を分割で支払っていることが多いです。
このような契約は特定継続役務提供契約といい、
類型的に消費者が被害に遭いやすいことから
消費者は、特定商取引法によって保護されています。
新型コロナウィルスの感染拡大により、
これらのサービスが受けられないのでやめたい、返金して欲しい、
と思われた方に役立つと思われる情報を御紹介します。
まず、契約書面交付後8日以内であれば、クーリングオフができます。
1 中途解約と解約料
(1)中途解約権
クーリングオフ期間経過後も、
消費者は、いつでも、中途解約できます。
これを制限するような特約が、契約書に含まれていても、
消費者に不利なものは無効です。
(2)対価の支払いをクレジット払いにしているとき
クレジット契約をしている場合は、クレジット会社に対し、
中途解約により将来に向かって解除した部分の支払い停止を主張することができます。
(3)解約料
中途解約の場合、
それまでに提供されたサービスの対価と一定の解約料を支払う必要があります。
約款に損害賠償額の予定または違約金の定めがあるときでも、
上限額を超えることはできません。
(4)教材等サービスを受けるにあたって購入が必要な商品の販売契約
中途解約した場合、これらの販売契約も解除することができます。
その場合の損害賠償額にも制限があります。
2 債務不履行による契約解除(改正民法541条)
コロナウィルス感染症による営業自粛によって、サービスが受けられなかったときに、
債務不履行による契約解除ができるか?、
については場合を分けて考える必要があります。
(1)新型コロナウィルス特措法に基づく都道府県の休業要請に基づく場合
債務不履行解除の要件として、履行しないことが違法であること、
すなわち、サービス提供事業者に帰責性がなければならなりませんが、
都道府県からの休業要請に基づいてサービス提供ができなかった場合は、
責任を問うことはできないのではないかと思います。
(2)休業要請に基づかない場合
提供事業者側が、一定の感染防止策を施せばサービス提供可能であり、
消費者側もサービスの提供を希望していたたにもかかわらず、
事業者側の事情によりサービスの提供がなされなかったときは、
責任があると認められる可能性があります。
ただし、民法541条ただし書きに、
「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、
この限りでない」、
とあるので、程度によっては契約解除は認められないことになります。
(3)まとめ
サービスの内容、都道府県の休業要請対象施設の該否、
サービスが提供されない期間などの不履行の程度を総合的に考慮し、
個々の事情に応じて検討することになります。